ネロとパトラッシュを迎えに来るような感じの天使たちが、 アパートのベランダから続々と侵入してきた。 俺は「キャー! キャー!」と女性のような高い声で悲鳴を上げながら、 枕、毛布、ぬいぐるみなどを天使に投げて追い払った。 テレビに映っていたアナウンサーが「見出しに『てんちむ』という言葉が入っているニュースは開くな! 時間の無駄だ!」と叫んだ。 天使たちは部屋の窓際に何やら、書物のようなものを置き、空へと再び飛び去って行った。 窓から差す光に照らされて、書物が白く光っているように見える。 あれは、聖書…? もしくは何かしらを啓示するための重要な本? 俺は窓のほうへ恐る恐る近づき、天使たちが置いていった本の表紙を確認した。  漫画「板前鬼政」の1巻を読んだ俺は、すっかり2巻以降も読みたくなり、 ブックオフを巡り、無事に全巻を揃えることに成功したのだった。  問題はなぜ、天使たちが俺に「板前鬼政」を届けに来たのか。 考えあぐねていると、あの天使たちがアパートのベランダから続々と侵入してきた。 俺は天使たちに捕らえられ、 あれよ あれよ あれれれれれよ……? 恥ずかしい格好にされちゃった!! もじもじ… もじもじ… 天使の1人が僕に言う。 天使「あなたは私たち天界の救世主です」 僕「えぇーっ、一体どういうこと?」 天使「これをお渡しします」 僕「これって……」  漫画「流れ板龍二」の1巻を読んだ俺は、すっかり2巻以降も読みたくなり、 ブックオフを巡り、無事に全巻を揃えることに成功したのだった。  なぜ笠太郎なる人物が描いた漫画の1巻が天使から送られてくるのか。 考えても考えてもまったく答えは出なかった。 そんな中、あの天使たちがアパートのベランダから続々と侵入してきた。 3度目ともなると、「お待たせしました」みたいな顔をしていた。 天使「あなたは私が想定している『正解』に、常に突き進む」 僕「それはいいことなんですか?」 天使「はい、その通りです」 僕「そうなんですか」 天使「…」 僕「…」 天使「…」 僕「…」 天使「今、こっちがしゃべるのを待ってますか?」 僕「そりゃそうでしょ! あんたのターンだよ!」 天使「会話にターンとかないよ」 僕「本を置いてとっとと帰ってくれ」 天使「あいにく本を忘れてしまった」 僕「マジで何やってんだ!」 天使「今度は『出張料理人旅日記 ふくすけ』を持ってこようかと思っていたのだが」 僕「本当にあるのか!? そんなマンガ!」 天使「ある」 僕「へー!(この相づちを打った瞬間に少し屁が出たが誰にも気付かれなかった)」 天使「後日、郵送する。『出張料理人旅日記 ふくすけ』が恐らく佐川さん経由で届くから受け取ってほしい」 僕「天使が佐川急便を使うな!」 3日後… ピンポーン 佐川急便でーす  漫画「出張料理人旅日記 ふくすけ」の1巻を読んだ俺は、すっかり2巻以降も読みたくなり、 全巻を集めようとしたが、それをするとまた天使が来て、 このやり取りが永遠に終わらない気がした。 運命がループしている気がした。 俺は「出張料理人旅日記 ふくすけ」の2巻以降を増やすのをやめた。 すると、俺の予想通り、天使はやってこなくなったが、 少しふっくらした嶋大輔がやたらとバラエティ番組への露出を増やすようになった。 Pokemon… 僕たちはポケモンジュニア。 ポケモンが大好きだけど、 メタモンが出てきたときだけ、少しもじもじして…。 手が変な動きになっちゃう…。 ポケモンの新作をプレゼントされた小学3年生のタケロウくん。 ある日、学校の昼休み、タケロウくんは登り棒から落下した。 血相を変えて先生が走ってきた。 命に別状はなかった。 児童たちは一時騒然となった。 それからタケロウくんは笑顔を失った。 ポケモンのジムバッジをまだ3個しか集めてないのに、 夕飯の支度をしている母親にこう言った。 「ママ、冒険するの、もうやめたい。」
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[ 2023/04/17 00:32 ]
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テレビの電源をポチッ。ある老舗寿司店が「加熱寿司」なる新メニューを開発したという特集をニュースでやっていた。 生ものが苦手な人や妊婦さんなどに需要があり、人気なのだという。 …確かにいい発想かもしれないが、新鮮味にかける。 寿司を炙るという行為はもともとあったためか、 これを「素晴らしいアイデア!」として報道されているのが腑に落ちない。 悔しい…。俺のほうが絶対にすごいアイデアを思いつける。 俺も食でトレンドを作りたい…。 加熱寿司を超えるような…。 加熱。 そうか。 こういうときは逆転の発想だ。 加熱の反対は、凍らせる。 キタ! これは今までにない発想かもしれない! そうと決まればもう店をオープンさせるしかない! 俺は物件を決め、店のコンセプトを決め、 約2日間にもおよぶ壮絶な寿司の修行を終え、 店のチラシを作った。 すべてが完璧、この店が繁盛しないはずはない! こうして俺は、ついに自分の寿司屋をオープンさせることとなったのだ!!!!!!!!  「カチコチ寿司」がオープンし、来客が0人のまま3日が経過した。 3日目に1人だけ来たかと思ったが 「あれ、ここ公衆便所じゃないの?」 と言って去ってしまった。 4日目には謎の人物が「燃えちゃえって感じ」と言いながら店に放火。 加熱寿司の対極を狙った「カチコチ寿司」が店ごと加熱されるという なんとも皮肉な結末で、俺の起業計画は幕を閉じた。 「カチコチ寿司」が全焼した次の日。 俺は夜景の見えるレストランで前澤友作とワインを飲んでした。 俺「頭が真っ白になってしまいました…」 前澤「エッチな話をしたいです」 俺「北朝鮮に亡命しようヨ」 前澤「俺のロケットでひとっとび」 俺「くぅ~っ! 泣けるね」 次の日、俺は逮捕された。 罪状は「鼻毛長すぎ罪」。 求刑は…死刑…。
[ 2022/11/04 00:29 ]
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「キングオブコント2022」の1回戦を観に行ってきました! ということで、さっそくレポートをしたいと思います。 レポが久々なので拙いところが多々あるかと思いますが悪しからず…。 【オープニング】 この日の予選MCを務めたのは、叶姉妹の叶恭子。キクチウソツカナイ。あたりが現れるかと思っていた観客は意外な人物の登場に大盛り上がり。恭子は段ボールに入れて持参したリンゴを観客に配って回り、「これを食べながらネタを見て、つまらなかったら芯の部分を芸人に投げつけてほしい」「笑いの新たなパターンとの出会いにワクワクしている。裏で自分でも点数を付けながら楽しみたい」と語ったほか、2日前にできた血豆が今朝、龍の形になっていたというエピソードを明かし、会場の笑いを誘った。 【Aブロック】 ●とんでもビクトリーズ 出囃子が鳴ってもなかなかステージ上に人が現れず。そのまましばらく時間が経過すると、舞台裏から老人らしき人物の「こういうネタです」という声が聞こえてきて、そのままネタ時間が終了した。 ●テンパリ後継者 坊主頭の男2人組がホースを持って登場。最前列に座っていた観客に「口を開けろ」と指示し、開いた口にホースを挿入。するとホースから大量の味噌汁が勢いよく噴射され、会場全体を出汁の臭いで充満させた。観客の1人がテンパリ後継者に「これ、赤だしだろ!」と問いかけると、2人はそれには答えず、「本当はM-1グランプリに出たかった!」とだけ叫んでネタを終えた。 ●恋のエース パックンマックン・パックンと青色1号・榎本による即席ユニット。海賊のコスプレをしたパックンは登場するなりステージから飛び降り、走って審査員席へ。その中の1人の胸ぐらを掴むと「俺らを絶対に決勝に上げろ! そして俺らのネタ中に突然番組を強制終了させ、『どうぶつ奇想天外!』のゴリラの群れに長期密着したVTRを再放送しろ!」と脅しをかける。その間、ステージ上に取り残された榎本はポケットに入れていたちりめんじゃこを食べながら、静かに涙を流していた。 ●どんな困難も 男73人、女11人の計84人がステージに登場。年齢は全員大学生くらいで、男の1人が「俺たちは全員の偏差値を足しても23しかない!」と叫び、それを合図に残りの83人が「わーっ!」と甲高い声を上げて客席へ。座っていた観客をイスから引きずり下ろすと、自分がイスに座り、すべての席が「どんな困難も」のメンバーに入れ替わってしまった。席を失った観客たちは会場から飛び出て、そのままルミネの夏服セールの列へと並んだという。 ●土踏まず極端 ブルドーザーに乗ったビキニのギャル3人組が会場の壁を破壊して登場。そのまま観客を次々と轢き殺し、全員が死んだところでコントを開始。バーベキューを題材にしたボケ・ツッコミがしっかりした完成度の高いコントを堂々と披露したが、観客が全員死んでいるため、笑いは1回も起こらなかった。なおコント中、ギャルの1人の水着が破裂し、乳首が丸出しとなったが、もちろん客席からの反応はなく、審査員の1人が「ラッキーですこと」とつぶやく程度に留まった。 ●2代目とんでもビクトリーズ エリート営業マンのような男性2人が「早まってます! 早まってます!」と言いながら登場。そして「我々はコントを披露しに来たのではありません。ここで新たな商売を始めに来ました」と説明する。その直後、施工業者が続々と会場入りし、2週間後にはきれいなジューススタンドがオープンした。なお、オープン初日の観客第1号は“優しい声の男性”だったという。 ●運命共同体 本物のサンドウィッチマンが登場。「俺たちは運命共同体なんだ!」「だから運命共同体という名前でエントリーしたんだ!」と叫んだあとは、「M-1グランプリ2007」の決勝で披露した街頭アンケートのネタを披露。途中、会場にはスター・ウォーズのテーマ曲が大音量で流れ出したが、2人は特にそれに触れずにネタを続行。終盤には3匹のシマウマが横切り、それに驚いた富澤が失神してしまい、それを見た伊達は悔しそうな顔をしながら「リタイアでお願いします」と審査員席に呼びかけた。次の日、サンドウィッチマンは芸能界引退を発表したが、1週間後に撤回。クイズ番組に出演するのみの活動にシフトすることを宣言した。 ●くるりん結婚観 政治家のような出で立ちのスーツ姿の中年男性が汗だくの状態で会場後方から現れ、「この大会を潰すしかないんだ。サザエさんもそう言っている」と意味不明なことを言いだし、へなへなと座り込む。そして尿をもらしながら「日本のコント師は草間彌生だけで十分だろ…」と言い放ち、そのまま天井を突き破ってスーパーマンのように空高くへ飛び上がってしまった。その後、5歳くらいの子供がステージ上に現れ、「キングオブコントは最初からありませんでした。2007年に地球は滅びています」と驚くべき事実を明かし、会場の設備がすべて溶け出してしまう。何もない更地となった会場に、女性の声で「本大会は劇団イワサキマキオの800000連覇で幕を閉じました。ご声援ありがとうございました」というアナウンスが流れ、この世から全てのお笑いが消滅。世界中の人々が真顔で淡々と暮らす新しい世界が始まった。
[ 2022/07/15 22:18 ]
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青木「ごめんくだせえ…」 つけ麺屋の店主「いらっしゃいませ」 青木「とぅけめん…プリーズ」 つけ麺屋の店主「熱盛にしますか? 冷盛にしますか?」 青木「“えぃとぅもり”で」 つけ麺屋の店主「えっ」 青木「“えぃとぅもり”」 つけ麺屋の店主「ええつもり?」 青木「(机から立ち上がり)……えぃつぅもぅりぃぃぃぃいいいいい!!」 つけ麺屋の店主「あっ、こいつダメだわ。けっこう早めに撃ち殺せ!」 BANG! BANG! BANG! 店に3発の銃声が鳴り響いた。 その直後、微かに美しい琴の音色も鳴り響き、 お正月ムードが漂った。 どうしようかな。 カレー屋に行って 「俺はただカレーを食いにきただけだ!」と怒鳴りながら、 金を払わずに店を出ようかな…。 その姿勢に強く共鳴したのが堂本光一で、 そのことを曲にした「俺たちには唇が無い」をリリースしたが、 売上0枚でフィニッシュ。 これを機にジャニーズ事務所は名前を「株式会社お鼻が長いのね」に改名するまでに追い込まれ、 堂本光一は「マキタスポーツさんとMステ出たかった。あとシャンプーって…いる?笑」と言い残し、歌手を引退するのだった。 ビデオテープが送られてきて、外側にこう書かれていた 「平成のテレビ放送中、唯一マジで視聴率が0%だった瞬間の貴重VTR」 テレビ放送では視聴率1%を切ることはあるが、 日本中で1人も見ていない真の0%になることはあり得ない。 日本国民の1人たりともそのチャンネルを見ていない瞬間が訪れるなんて天文学的な確率の奇跡だ。 しかし、30年間で一瞬だけその瞬間があったらしい。 俺はその場面を確かめるべく、ビデオテープを流した。 … …… ……… 子供たち「勝俣さ~ん!」 勝俣州和「…?」 ここでVTRが終わった。 公園でたくさんの子供たちが勝俣州和を呼び、 なんだろうと不思議に思う勝俣の顔が映って終わり。 その時間、わずか3秒。 この3秒間だけは、日本で見ていた人が1人もいなかったらしい。 なんの番組の、どういうシーンかわからなかった。 絶え間なく降り注ぐ電波の雨。 中学2年生の夜、25時頃の深夜番組を観ていたときに 家に雷が落ちて停電になったことがある。 部屋が一瞬で真っ暗になり、その瞬間、鮮明な雨の音が耳に飛び込んできた。 唖然としていると、電気は復旧していないはずなのに テレビだけがプツンと映り、 タモリ、ビートたけし、明石家さんま、間中敏雄(日光猿軍団団長)の4人が横並びで こちらを向いていた。 画面の右上には「今世紀最初で最後!? お笑いBIG4が集結!」と書かれている。 そしてタモリが語りかけてきた。 「龍一郎、テレビは好きか?」 ビートたけしも続いた。 「お前は本当にテレビが好きなのか?」 明石家さんまは角度を変えてこう述べた。 「テレビは何? テレビに何ができる?」 最後に間中敏雄が何かをしゃべるのか注目したが、 10秒沈黙したあと、やや高めのかすれた声で「猿」とだけ言って終わった。 やがて部屋の電気が付き、テレビ番組も通常放送へと戻った。 あれから16年が経ったが、未だに答えは出ていない。 俺はテレビが好きなのか。 それとも、テレビを観れているあの感じが好きなだけなのか。 あれ? 僕の折りたたみナイフにキスをしてくれたあの子が グラビアDVDをリリースしている。 白い水着でカツ丼を食べながらラジコンヘリを操作している……。 ヤバい! この世界が僕を困らせるためだけに変形してる! なんの面識もないAV女優が、僕に「ブロックしますね」とだけリプを送ってきた! そして次の日、彼女は覚醒剤使用の疑いで逮捕された! 急いで彼女のTwitterアカウントに向かうと、 僕のことをブロックしていなかったし、誕生日の風船がたくさん舞っていた! その中の1つが画面から飛び出して僕の部屋の天井付近をふわふわと舞いだした。 「これは一体?」 キッズダンサーの教室に乱入して「俺の言うことを聞け」とだけ言ったら、 爆発したような悲鳴が教室を埋め尽くし、すぐに通報された。 俺は警察の取り調べに対して「黙秘します」と言ったが、その瞬間大きなオナラをブーーーーッ!と出してしまい、 刑事から「これはさすがに黙秘とは言えないよ(汗)」と呆れられてしまった! 刑務所で俺は「おなら黙秘くん」というあだ名がついたが、 2日目から誰にも呼ばれなくなった。 檻の中で「V6は『手話』というタイトルのラストシングルをリリースしてから解散してほしかった……」と呟いていたら、看守に「うるさい!出ていけ!」と言われた。 俺は「えっ、出ていいんですか?」と言って、檻の窓を開けたら普通に出れて、 刑務所の出口に向かっても誰にも止められず、まるで買い物を終えたデパートの客かのように、堂々と外に出れた。 脱獄成功! 腹がペコペコだった俺は刑務所前のつけ麺屋に入った。 青木「ごめんくだせえ…」 つけ麺屋の店主「いらっしゃいませ」 青木「とぅけめん…プリーズ」 つけ麺屋の店主「熱盛にしますか? 冷盛にしますか?」 青木「“えぃとぅもり”で」 つけ麺屋の店主「熱盛ですね。少々お待ちください」 10分後 つけ麺屋の店主「お待たせしました。つけ麺、熱盛です」 青木「わー、おいしそう」 この世は少しずつ変わっているかもしれない。 うまくいかないことがあってもしょうがないよね……。
[ 2022/01/03 22:58 ]
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青木龍一郎「すみません、雷鳥ラーメンと吊るし焼きチャーシュー丼をください」 僕は未だに考え続けていた。 昼に入ったラーメン屋で「雷鳥ラーメンと吊るし焼きチャーシュー丼」と言ってしまったことを。 別に何も間違ったことは言っていない。 「雷鳥ラーメン」「吊るし焼きチャーシュー丼」のどちらもメニューに書いてあったものだ。 しかし僕は、空腹の状態で「雷鳥」「吊るし焼き」という単語を発したことを 家に帰ってから反芻するたびに妙な気恥ずかしさに襲われるのだ。 僕、他人に囲まれた空間で「雷鳥」って言ったなあ。 言っちゃったなあ…。 ラーメン屋で確実に「雷鳥」という単語を発したなあ……。 「醤油ラーメン」「塩ラーメン」「雷鳥ラーメン(煮干し+背脂)」というラインナップで 俺は醤油や塩に目もくれず、「雷鳥ラーメン」をチョイスした。 それを頼まなければ損する気がしたからだ。 雷鳥ラーメンは「雷鳥」という言葉を発さないと出てこないラーメンだ。 それを理解した上で、俺はしっかりと「雷鳥」と言った。 「すみません」と店員を呼び、その直後に「雷鳥」という言葉を発した。 作業している店員に「すみません」と声をかけて気を引き、その店員の顔を見て「雷鳥」と言ったのだ。 しかもそれに続く言葉は「ラーメン」。 「雷鳥」+「ラーメン」=「雷鳥ラーメン」だ。 名前も年齢も知らない初めて会った人間に「雷鳥ラーメン」を要求しているのだ。俺は。 向こうは俺が腹を空かして来ていることを察している。 店主にしてみれば「飯を食える場所」を用意したら、 腹を空かせた俺が来たのだ。 そして「雷鳥ラーメン」が食べたいと申告してきたのだ。 あまりにも可愛くて恥ずかしすぎる。 さらに追い打ちで「吊るし焼きチャーシュー丼」だ。 「吊るし焼きチャーシュー丼をください」だ。 ラーメン屋に入り、その店員に「チャーシューを吊るした状態で焼き、それを米の上に乗せて俺の目の前に運んでこい」と、そういう要求をしているのだ。 チャーシュー丼は「吊るし焼きチャーシュー丼」の1種類のみ。 つまり「吊るし焼き」の部分を端折って「チャーシュー丼」だけでも伝わる。 しかし俺はしっかりと「吊るし焼きチャーシュー丼」と言った。 言わなくてもいい「つ」と「る」と「し」と「や」と「き」の5音を発し、 チャーシューを吊るして焼いてほしい旨を念押しした。 「お前は豚の肉を吊るして焼け。俺はそれを喰う」。 そういう契約だ。 ここの店がチャーシューを吊るして焼くことなんてまったく知らなかったのに、 メニューを見た次の瞬間には「吊るし焼き」という言葉を発していた。 まるで自分のものかのように。 俺は今でもまだ、「すみません、雷鳥ラーメンと吊るし焼きチャーシュー丼をください」と言ったことを考え続けている。 スケバン刑事の大きなポスターが飾られている、とある店での出来事…。
[ 2022/01/03 21:15 ]
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