you tubeで椎名林檎のビデオ見てたら、鍵をかけていたはずの玄関の扉が急に開き、外国人観光客(全員ヨーロッパ系白人)が5,6人押しかけてきた。
僕の部屋に放置されたお茶のペットボトルや、食べかけのスッパムーチョを、嬉々と、首からさげたビデオカメラに収めまくる。
僕は唖然として彼らを見つめた。
すると外人の中でも一番太った白人の少年が「HAHAHAHA」と笑いながら僕の腕をつかんで引っ張ってきた。
僕はよだれ垂らして白目剥いて「ヴゥ~…やめろおお…」と言ったが、デブはまったく聞かずに、僕を家の外へ連れ出そうとする。
家の外には、まだまだ白人の老若男女が何人かいる。笑顔で「カモンカモン」とか言ってる。
やだやだやだ外出たくない。
しかし、結局僕は4,5人の外人たちに腕をつかまれ、ズルズルと引きずられながら、家の外へ連れ出された。
僕は泣きながら引きずられた。なんとも情けない。
僕は「オイ糞外人コラ!やめろ!You fucking fool!」とか叫んだけどだめだった。
誰も居なくなった部屋の中には、パソコンから流れる椎名林檎の歌声が響いていた。
外人はいたわりを知らない。
僕をアスファルトの上で引きずる。
もうズルズルズルズルと。
途中でズボンとパンツも脱げた。
目的も分からないまま10人以上の白人に町中を引きまわされている。
僕も途中でどうでもよくなって、無抵抗かつ真顔になってしまった。
そうなると、いよいよ相当シュールな絵になってくる。
下半身を丸出しで真剣な顔をした男が
笑顔の白人の老若男女たちに町中をズルズルと引きずられているのだ。
これは江戸引き回しだ。
【一口メモ:「江戸引き回し」って何だぁ!?】
江戸引き回しっていうのは、江戸時代の刑罰の一種なんだ。
処刑前の罪人は、江戸の要所要所を引き回されて、江戸の人たちに見せしめにされたそう。
「この人はこれから殺されますよ」的なニュアンスで見世物にされたんだって。
なんともナンセンスな刑罰だと思わない?
日本の文化に興味を持つ外人が増えているそうだ。
こいつらもそうなのだろうか?
インタネーットとかで日本の伝統文化「EDO HIKIMAWASHI」を学んで影響されたのだろうか。
でもなんで僕が引き回されてんの?
学校行かずに家でyou tube見てんのってそこまで悪なの?
そんなことを考えているうちにズルズルがストップした。
辺りを見回すと、そこは川辺のようだった。
今度は白人たちに担がれて小船に無理矢理のせられた。
僕が抵抗しないのをいいことに、船は陸を出発し、どんどん陸から離れた。
江戸引き回しの次は島流しのようだ。
吉田君とかモモサキにさよなら言ってない。
パンダ君に貸してたつげ義春の漫画も返ってきていない。
川本由香のブログも見てない。
さよならをするときってのは本当に、あっけなくて急なんだなあなんて思った。
でも実際、人とのさよならの場面なんて皆無だ。
「これで一生、私たち会えない。永遠の別れですよ。じゃーねバイバーイ」なんてまずありえない。
ほとんどの人との別れは、後に「あの時だったのだ」と思う程度なのだ。
そう考えてるとボロボロと涙が出てきたのだが、後ろから声がした。
「おい、ちゃんと漕げ」
声の方へ振り向くとそこには、おかめの面をかぶった3人が船を漕いでいた。
そいつらには見覚えがあった。去年の9月4日にガストで相席をしている。
(そのときの日記)こいつらが食い逃げをしたため、何故かその分を僕が支払わされたのだ。
僕は今でもそのことを怨んでいて、再びあったら3人まとめて包丁で刺し殺してやろうと思っていた。
しかし、それはできなかった。
たとえ、再び会いまみれたとしても、そんな島流しにされる船の上で再会するとは思わなかった。
完全に想定の範囲外だ。
復讐とかしてる場合では無い。
切羽詰ってる。
ガストとかねぎとろ丼と小うどんセットとかとはもはや別次元だ。
僕は今、船の上からノートパソコンから今、このブログを更新している。
分かるな。
僕は今、現在進行形で島流しにされている。
今から少し寝る。
目覚めたら家のベッドとかだったらいいですけどね。
水の上で現実感を喪失。
僕らの脳内リフレクションはグルグルと回り続けている。
僕は今、とても怖い。
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