雲を見に行こうと言って、来てくれたのはモモサキだけだった。
彼は電話の一時間後、ピストルを持って我が家にやってきた。
僕は、彼からピストルを奪い取り、そのまま銃口を空に向け、一匹の鳩を撃ち殺した。
「さ、河原にでも雲を見に行(ゆ)こうか」
僕らは歩きながら、ロウテンポに会話を繰り広げた。
「ねぇ、さっきの鳩食べれると思う?」
「無理だと思いますよ。食べない方がいいです。カラスだったら食べれるでしょうけど。」
「おっ。ブラックミートパイってか」
「ブラックミート知ってるんですか?カラスの肉」
「うん。ゴルフ中にカラスに襲われた石原慎太郎東京都知事の私怨によるカラス食肉化計画だよね」
「そうです。『カラスをミートパイにして東京名物にすべきだ』の発言は僕を含めた多くのゲテモノイーティングマニアからの歓声を浴びましたよ。」
「カラスは指定暴力団だからね。石原都知事と激しい知能戦を繰り広げてるよね」
「吉田さんが、カラス喰ってましたよ」
「あぁ。あいつもカラスが大嫌いだからね。お気に入りの生ゴミ捨て場の生ゴミをよくカラスに持ってかれるんだよ」
「あー。だからなんですか」
「そう。いつも『あの黒装束め。喰ってやる』って言ってるから」
そんな話をしているうちに、僕らは河原にたどり着いた。
さあ、今日は一日、レッツウォッチング雲です。僕はモモサキに言った。
「雲、撃ち抜いてみてよ」
モモサキは「いいですよ」と言って、雲に向かってピストルをぶっ放した。
弾丸はみるみる空へと飛び上がった。
「いいぞ!雲を撃て!撃て!撃て!トラトラトラ!我、奇襲ニ成功セリ!!」
しかし、途中で鳩に激突してしまいました。血を吹きだしながらみるみる真っ赤に染まっていく鳩が僕の顔に落ちてきました。わあ。鳩の死体だ。気持ちが悪いなあ。鳩は僕らに話しかけてきました。
「撃つなよ(苦笑)」
モモサキは「黙れ!」と叫び、ピストルを鳩に撃ち続けた。
パン!パン!パン!万パン!
ぐったりとした鳩に僕は一言、声をかけた。
「カラスに生まれればなあ…って思うことなかった?」
鳩は死ぬ直前に言った。
「カラスになりたいと思ったことはない。鳩で良かったと思ってる。
でも、雲になりたいと思うときはたまにある。」
その後、僕らは雲を撃ち抜いて、その欠片を鳩の死体にふわりとかけた。
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周りの色んな景色が変わっていくけれど
雲だけは全く変わらないでいてくれる
そして鳩君の立場からは、誰も攻撃しないし、誰にも攻撃されない
そんな感じがするねぇ
なんとなく童話みたいな暖かさを感じた
癒された。
日本では少し前まで烏は太陽神の使いだったし
鳩は平和の象徴だったんだよな~
うーん。これは心にズシンとくるなー。青木先生はこういうの得意だよね。まさに狂気と哀愁。
タイトルと本文の関係性を誰か教えてくれ
俺には難解すぎてだめだ
96bv7o Very informative post.Much thanks again. Keep writing.
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【漫画・アニメ】●さあ、トキメキの準備はいいか。「初恋限定。」がスタートです!予告の時と随分変わっていたんですね。●ジャンプ44号感想途中から形式が変わるという場合も考えられるんですね。●ないし
[2007/10/03 23:48]
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