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ケッヘル番号927 

暑さが目の前でグラグラしていていた。
校舎北棟4階男子トイレ1番奥の個室。
僕はそこで、真顔でじっとしていた。
証明写真を撮られるときのような表情で、パンツをおろし、便座に腰をかけていた。
そして、脳内でカントリーロードのメロディにこんな歌詞をつけて復唱していた。


きーみーのー すばらしぃー
えーがーおー みーてーもー
こーのー ぼーくのー きもちーだーけはー
ずっとー カントゥリーロー

君の素晴らしい笑顔見ても、この僕の気持ちだけはずっとカントリーロード。






個室の外から女子の声が聞こえてきた。
「青木君いますかー?」


僕は無視して、脳内で歌を歌っていたが、女子は再び呼びかける。
「いつまでそうやって死んでんのー?」

「いつまでそうやって死んでんのー?」

「いつまでそうやって死んでんのー?」





3回も言われたら、僕だって答えないわけにはいかなく、小さな声で応答した。
「生きるまで、死んでるつもりです…」

「そうなのー?そんなことより顔色悪いよー。早退したらー?」

「何言ってるんですか。あなたに僕の顔色は見えていないはずです。
 何故なら僕はこのトイレの個室の中に一人でいるのですから」

「見えるよ。分かるよ。青白い」

「何なのですか?どこかから覗き見でもしてるのですか?」

「そんなこと聞いたってどうにもならないよ。早退しないさいよ」


「はいはい分かりました。
 あなたに言われなくても、もう今、早退するつもりだったところなんです。
 トイレを出て、校舎を出て、校門を出ようとしてたところなんです。
 まったくなんなんですか、あなたは。
 勝手に人にもの言わないでくださいよ。
 そもそもここは男子トイレですよ?殺しますよ?」


僕はドアを思い切り開けた。
さっきの女子は既にいなかった。


トイレを出て
校舎を出て
校門を出て
学校に一発放屁して、家まで走り出した。


僕はさっきの女子に早退させてくれてありがとうと言いたかった。

日差しに殺意を感じながら
ただ、何も考えずに走っていた。

女子の声はつまり、僕の妄想だ。
トイレの中で妄想人間と対話しては、学校から逃げだす。
追いかけてこないか
何度も
何度も
振り返る。


アスファルトの上をジグザグに走る理由は
稲妻のイメージだ。

僕は妄想稲妻人間となって
空間をイメージカットするのだ。







ここで、僕はポケットの中に山芋が入ってることに気づいた。
なんだこりゃ。

僕は土だらけのその山芋を貪りながら、走っていると目の前に武田君が現れた。
小学校時代のクラスメート。
武田君といえば、遠足のお弁当の時間に、水筒に入ってる飲み物を飲もうとしたら
中に入ってたのがとろろで、号泣してしまったというエピソードを持っている。

武田君は無言で、背負っていたリュックサックから、水筒を取り出した。
僕は、思わず
「あ、とろろでしょ!それにとろろが入ってるんでしょ!」と叫んだ。
武田君はそんな僕の言葉に反応せずに、水筒の中身を飲み始めた。
そして、口に含んだ飲み物を、ダラーッと口からこぼした。
口から流れてきたのはオレンジ色のオレンジジュース。

武田君はここでニヤッと笑って、走り去ってしまった。
武田君は水筒にとろろではなくオレンジジュースを入れることに成功したのだった。







何この日記。
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[ 2008/07/15 21:54 ] 日記 | トラックバック(-) | コメント(-)


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