僕達が小学生だった時、怖いものは夏祭りにいるヤクザのおじさんだけだった 

小学生たちが校庭でサッカーをしてるとき
ふと校舎2階理科室のの窓を見ると
校庭をじっと見つめる ウルトラマンのお面を被った
男の子が居た




僕達の遊びが終わるとき
先生はさよならの歌を歌う
僕は湿ったタオルで体を拭かれ
脳に蛆が湧いたロバのような目つきで
天井を眺めている

真っ暗な理科室には
顔面に大火傷を負った男の子が居て
窓から校庭を眺めている

サッカーを見ている
自分はあの中に加われないことを知っている
お面を被っている





まだ、家が燃える前に
夏祭りで買ったウルトラマンのお面




校庭のサッカーを観戦しながら
自分の爛れた顔面を触って ずっと目を開いていた
男の子の頭の中には
微かに祭囃子が流れていた
視界の中の暗い部分には
金魚すくい 綿飴 が映し出されていた
浴衣の綺麗なお姉さんに恋をして
そのお姉さんの首元に刺青があったことを思い出した

思い出した





家が燃えて
顔が火達磨になったとき
自分が黒い息を吐いたこと
すごくびっくりして心臓が止まりそうになって
鼓膜の中では大音量で
わっしょいわっしょいわっしょいわっしょいわっしょいしてた








自分の家や顔が燃えてしまっても
夏の夜の記憶はずっと残っていた







男の子は窓から飛び降りて死んだ
飛べなかったウルトラマンの顔はぐちゃぐちゃだった


僕は保健室からその光景を見ていた












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[ 2008/11/11 21:14 ] 日記 | トラックバック(-) | コメント(-)