告白されたのでラブホテルに行くことにした 


何人もの女に告白されまくってたまらなくなったので
一旦落ち着いて
僕は一人でラブホに行くことにした。



ラブホに行くと、そこには長蛇の列ができていた。
あまりの長さにはみ出した列が数軒隣のコロッケ屋の店先を封鎖していた。
情欲を我慢できなくなった男女どもが、
まだホテルにも入れない段階から、濡れたアスファルトの上でいちゃついている。
コロッケ屋の店主が列を成す発情猿どもに
「揚げたてだよう揚げたてだよう」
と声をかけていたが、その声に反応する者は誰ひとりとしていなく
商人特有の威勢の良い声は、カップルたちの喘ぎ声にもクスクス笑いにも似た
いちゃつきサウンドにむなしく滲んでいった。

僕は読売ジャイアンツのキャップをかぶり、右手に丸めたスポーツ新聞を持ってその列の最後尾に並んだ。
僕の一つ前に並んでるカップルがこちらを見て、一瞬怪訝な顔を浮かべた後に二人で笑っていた。

お前、一人で並んでるのかよ。と。

ラブホテルに一人かよ。と。



うるさい、僕はたくさんの女に告白をされた上でここにやってきたのだ。
そのカップルの男の股間に目をやると
そこだけ分かりやすくムックリと勃起していた。

「早~」
とつぶやいてから、僕はゲラゲラ笑った。

男は不思議そうに眉をひそめて僕を睨んだ。


「すいません(笑)。いや、勃起すんの早いな~と思って(笑)」

男は「別にいいだろが」と言った。

「いや、別にいいんですけど、でもめっちゃ早いっすよね?(笑)」




男はここで突然しゃがみ込み泣き始めた。
そして「恥ずかしい」と言って下を向いてしまった。
言い過ぎてしまったようだ。


前に列を成しているカップルたちはそんな男に目もくれずいちゃいちゃしている。
男の彼女は
「たーくん、大丈夫?恥ずかしくないよ…勃っちゃうことは恥ずかしくないよ…」
と一緒にしゃがみ込んで慰めている。


僕はなんだこれ?と思いながらその様子を見つめていた。

「たーくん、大丈夫だよ。私全然勃たない人より、すぐ勃っちゃう人の方が好きだよぉ?たーくん…」

この女何言ってるんだろう?と思っているところで僕は気絶して記憶を失い
気づくと山手線浜松町駅の近くのゴミ捨て場に全裸で捨てられていた。





目の前を通ったOLっぽい女が
「キャー」
と悲鳴を上げたので、僕はテンション低めに
「やめろ…見んな…」と言い、めんどくさそうに一番近くに落ちていたゴミ袋を
異様に伸びた爪で切り裂き、中から生ごみを全部取り出してその中に入って首だけ出した。
そしてジャンプしながら近くのポケモンセンターへと行った。

ポケモンセンターの前ではたくさんのポケモン廃人達がネットワーク通信対戦をしていたので
僕もその人達の中に混ざって座った。
大人や子供たちが、僕を見てその場を離れて行った。
「うわっ、ポケモンかと思ったら、ゴミ袋にくるまった裸の馬鹿だ!気持ち悪ぃ!」
と言われたので僕は
「ポケモ~ン、ゲットだぜぇ~」
と言いながら目をひん剥き、歯を食いしばって体中を震わせた。


ポケモンセンターの前には誰もいなくなった。
店の前で僕は、ゴミ袋から出て、全裸の状態で大の字に寝っころがって考えた。



















付き合う前に手を繋いでしまうことを恐れている僕たちも
結局は感覚でつながっていたんですね

僕たち全人類は自分のことをとっくの昔に見破っている
それを知らないフリをしているんだ

君がポツリと
「器用にできないんだよ」
と言った

水浸しになったキッチンの床を
君は音も立てずに歩く
電子レンジのコンセントをよけて歩く
テーブルの角に足をぶつけずに歩く
そして僕と出会う

世界が例えば
僕の部屋だけになったとして

君は器用に僕に会いに来てくれるので
一日の最後にキスができる


夜の奥深くで満月が光っているけれど
カーテンで遮断されてしまいます

唯一の光が消えても
僕たちはお互いを迎え入れることにしよう




部屋を暗くした後も
真っ暗な中で僕のスマートフォンだけは光っていて
僕たち自身が一緒に寝ているはずなのに
僕のスマートフォンは君からのメールがくるのをずっと待っているのだ
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[ 2012/12/30 01:23 ] 日記 | トラックバック(-) | コメント(-)