終わるみたいに全て始まる 

野宮。僕たち青春が終わるくらいの時、どんな顔してただろう。


中学校二年生の時のことを覚えているか、野宮、お前。なぁ。
金が無かった僕たちは二人でお金を出し合ってギャルゲーを買って
二人で24時間体制で交換しながら一発クリアを目指したよな。
その帰り道にわけわかんねーブスにストーカーに間違われたっけ。
僕は平謝りで、野宮は徹底抗戦の構えだった。
そして野宮の部屋に行ってギャルゲーやったな。
最初は二人でなんでもない会話に爆笑しながらやってたけど
エンディングの時には二人で泣いたよな。野宮。
朝日が綺麗だったなー。

高校二年生の時、覚えてるか。
野宮、お前僕たちの中学時代の同級生の浅野を連れてきたよな。
浅野の妹も居たな何故か。
浅野兄妹はバイクに乗って、僕らは自転車であとを追いかけて
近所のハーマンに行ってビデオを借りたな。
「エクステ」というホラー映画だった。
野宮の家に行き4人でそれを見た。
薄暗い部屋がタバコの匂いで充満していた。
僕は浅野妹の腕の根性焼きの痕を見て興奮していた。
僕は浅野妹に気に入られて
「この人、超ツボなんですけど」
って言われて、野宮はその時無意識にちんこをいじくっていた。


藤井貞和が言っていたことよりも
お前は多くの言葉をバカみたいに繰り返す。


みんなが青春に全てをかけていた時
僕たちは青春を放棄することに全てをかけていた。

僕たちが大人になった今、自らの記憶は輝いているのか。
それは少し違うね、野宮。
僕たちの記憶は鈍く鈍く錆びついている。

僕たちの育った町にはたくさんの
空っぽになったティッシュの箱が放り投げられている。
お前が涙を拭いたティッシュ
汚れを拭いたティッシュ
精子をぬぐったティッシュ
その全てはものすごいスピードで宇宙へと消えて行った。

この街を今もう一度
二人で壊さないか?

青春が終わった時のように
この世界そのものを終わらせてみないか?

結局、僕たちロクな大人になれなかったね。
負けてしまったね。


僕たちが放課後の校舎の横を
ゲームショップの袋を下げて
歩いているとき
聞こえてくるのは
サッカー部の掛け声やそれを応援する女たちの声だったな。
僕たちは耳をふさぎ、足を速めた。

でも漠然と
未来にはこいつらに
僕たち勝ってるはずだと思っていたよな。
最後に勝つのは暗い青春を送った僕たちだって信じていたよな。


それなのに
それなのに
それなのに
僕たち、やっぱり負けてしまったね。
駄目だったな。


あいつらが多くの物を分け与えられた時
僕らの持つゲームショップの袋の中には何があった?
新作のギャルゲーを鼻くそみたいに
こねて
引き延ばして
いじくり回して
ずっと時間を耐えてるしか無かったなぁ…。


僕たちがこの街をぶち壊せば
あの校舎も一瞬で消え失せる。

僕たちが耐えてきた
この街の
この時間は
一生ひっついて離れない
靴裏のガムみたいだ。


僕たち、普通に勉強して
普通にみんなと仲良くしてれば
きっと今頃
東京大学のテニスサークルでたくさんの女たちとセックスをしているんだろうね。

あの雨の日に
びしょ濡れの野宮が僕に言ったのを覚えている。

「透けブラ狩りしようぜ」


お前は最初から最後まで最低のクズだったな。
歯はボロボロで、親の金でタバコを吸いまくっている。





よし、野宮
最後に一回だけ勝負をしよう。


僕たちはバカだから
勝ち負けすらも分かってない。


僕たちでこの街をつぶそう。
本気でつぶそう。


街が変わり果てて
どこにも行くところが無くなった
イケてる奴らを
八幡山の宇都宮タワーのてっぺんから見渡して
あの初めてギャルゲーをしたときみたいに二人で爆笑しようぜ。
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[ 2012/12/31 21:42 ] 日記 | トラックバック(-) | コメント(-)