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ディスカウントスーパー 

拾ったVHSをつけてみると……



老婆「龍一郎君こんにちは」

青木「あぁ、またこのパターンか。もういいだろ。俺の人生、ずっとこんな感じなのかな?」

もう怒った。
どいつもこいつもバカにしやがって。
俺は外に乗って3輪車に乗り出した。

青木「…また3輪車か。もういいだろ、この感じ。途中から車いすだろ?飽きたよ」

すると猿の軍団がやってきた。

青木「また猿の軍団かよ。全部死んで最後には病気の犬が震えてるオチだろ?
関東チェーンソーチェーンソーズはいっつもそうだ。ずっと同じじゃないか。
中学生のときから。みんな働いているんだよ。パパやママになっているんだ」

それは本当に恐ろしいことだった。
15歳の青木少年が始めた「関東チェーンソーチェーソンズ」は、友達がいない
中学生が部屋で1人で更新し続ける傑作ブログだった。
だけど本人も、どこかで終わりの予感を感じながら更新していた。
キチガイが暴れまわってたくさんの障害者やホームレスを殺すこのブログが長く続くはずがないと思っていた。

それから青木は高校生になり、大学生になり、会社員になった。
恐ろしいことにまだ「関東チェーンソーチェーンソーズ」を書き続けていた。




女(23歳)「おい青木」

青木「こんにちは! 誰ですか!?」

女(23歳)「関東チェーンソーチェーンソーズの上位互換のブログを作ってみました。読んでください」

青木「読みます」

女(23歳)「まず狂気はそのままです。ホームレス、精神障害、脳に蛆が沸いた猿、
引きこもり、ムキムキの老婆…そういうのがたくさん出てきます。でも主人公はかわいい女です。私。」

青木「…」

女(23歳)「関東チェーンソーチェーンソーズに比べてセックスとか処女とか
そういうワードが多くなっています。精神的にもろい女の繊細な感じとか、
切ない感じを出しています。アニメネタとかオタクっぽいのはカットして、
おしゃれな人にもウケる感じを出します。挿絵も入れてね。
関東チェーンソーチェーンソーズは文章だけだから退屈なんですよ。
やっぱり私は才能あるのでよりいいものが作れるんですよね。これが私の芸術。」

青木「……いいですね。すごいっす。僕もがんばらなくちゃ…あっ」

女(23歳)「なんですか?」

青木「彼氏いますか?」

女(23歳)「います」

青木「あっ、了解です。それでは…さよなら。がんばってください…」



~帰宅後~

なんなの!? あの女!!
なんにも面白くないんだけど!
オタクっぽいのがおもしろいんじゃないの!?
芸術ってなんだよ!
ムカつくわ!

そうだ…殺しに行こう!
GPSを付けておいてよかった!
今宵、闇討ちなり~~~~~!!



~夜~

青木「やっほー」

女(23歳)「わっ、なんですか! 出てってください!」

青木「それはできないよ。まだ君を殺していないのだから」

女(23歳)「警察呼びますよ!」

青木「ようこそ、ここは関東チェーンソーチェーンソーズワールド!
この世界の警察は全員脚がないから歩くことができない! それすなわち呼んでも来ない!
電話口で『落ち着いてください』しか言わない!」

女(23歳)「関東チェーンソーチェーンソーズワールド? バカなんじゃないですか!? ここは現実!」

青木「違う(^0^)」


その瞬間、部屋にムキムキの警察が入ってきた。

警察「逮捕する!」

青木「M-1グランプリ2017、優勝は俺!」




青木はそう言い残し、逮捕された。


青木「また逮捕されるやつか。初期の関東チェーンソーチェーンソーズに多かったオチやね。
いっつも最終的に逮捕されるやつ。高校1年生のときによくやってた」






好きな女と釣りに行き、
俺は釣れず、あいつは2匹釣った。
俺は恥ずかしくなり、川に飛び込み、自殺した。

次の日、女の家に行き「昨日はごめん」と謝った。
女はフィッシュセンターの人にニジマスを塩焼きにしてもらい食べたという。
俺が「2匹食べたの」と聞くと、女は「1匹は引き取ってもらった」と言った。

「ごめん。僕、死んでしまった。恥ずかしくて。エサもろくに付けられなかった。
ビールを買って一緒に塩焼きを食べたかったのだけど、本当に釣れなかった。
情けないし癇癪を起してしまった。引きこもりだから辛抱が足りないんだ。
ジッとしていられないのに、何かあるとすぐに緊張して固まってしまう。
那須塩原の山奥に一緒に来てくれてありがとう。帰り道、1人にさせてしまい、ごめん」

彼女の家の前は区画整理が進んでいた。
見たことないデザインの歩行者信号が設置されていた。
2020年に向けて僕たちの住む街が少しずつきれいになっていく。
ディスカウントスーパーで弁当を選んでいるとき、
君は336円の竜田揚げ弁当を手に持った。
あれは本当に楽しく、そして確実に現実ではなかった。
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[ 2017/09/22 02:13 ] 日記 | トラックバック(-) | コメント(-)